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誇り高き魂たちの、夢のようなお遊び

先日、大阪のウィングフィールドで、金満里さんが主催する、劇団態変の『虎視眈々』という舞台を見た。劇団態変とは、1983年より大阪を拠点に活動を続けている、作・演出・役者は全て身体障害者のみで構成される劇団である。

それにしても、この感覚はなんだろう。冒頭の場面に続いて、おもむろにジーン・ケリーの『雨に唄えば』が流れ出すと、もうこの世のものとは思えないほど、幸福な顔を浮かべた男が、謎のステップで踊りだす。その瞬間、劇場全体が不思議な幸福感に包まれた。

もちろん、彼は身体障害者なので、ジーン・ケリーの軽快さには似ても似つかないおぼつかないステップ。突っ込みどころは満載。

バックの音楽にのせて、ジーン・ケリーのタップの音が聞こえ出したとき、目の前にいる役者の動きと音楽とのズレはピークに達する。だけども、彼はそんなこと一切お構いなし。そこにあるのは、ただ天上の笑みと、彼が巻き起こす小さな風のみ。

彼の瞳には、はっきりと憧れが映っている。それは、正気を超えている憧れ。正気と狂気の狭間で夢を見ている彼の身体は、今、確実に幸福な光に包まれている。

そして、その光が劇場全体を包み、見ているこちらも、彼の憧れの世界に巻き込まれていく。これはいったいなんだろう?こんなことは、態変以外の舞台では、なかなか体験することは出来ない。

ようするに次元が違うわけだ。

いわゆる、うまい踊りというものとは、まったく次元が違う。

後半、役者たちが、まるで幼子のように、それぞれ思い思いのおもちゃを、舞台上に持ち寄り、自分だけのスペースに、ひとつひとつ丁寧に並べ始めた。

決して他の誰かと交わることのない、その孤独なお遊びは、長い時間つづいた。

『あぁ、そうだよな』

その瞬間、ぼくの心の深い所から、ぐっと込み上げて来るものがあった。それは、言葉にならない懐かしさであり、深くて、静かで、痛いものだった。

それがなんであったのかは、まだ言葉にすることが出来ない。

ただ、

人の心の中には、誰にも犯すことの出来ない大切な場所がある。
誰のためでもない、私だけの孤独な魂の場所。
ふと、そんな場所のことを思った。

おそらく想像も出来ないほど、過酷な人生を生きて来たであろう彼らの、誰よりも深く、人間の残酷さを知っているであろう彼らの、

とびっきりの調子っぱずれの

“ I'm singing in the rain 〜♪ ”

『空は真っ暗だけど、僕の心には太陽が照っている。
いつでも恋はOKだよ。・・・』

なんだか、わけが分かんないんだけれども、

気づいた時には、涙が出ていた。


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